残留農薬検査の重要性と保健科学東日本の検査内容
環境汚染の深刻化に伴って食の安全に対する意識が世界規模で高まるなか、日本でも食品衛生法の見直しが進められてきました。
そして平成18年に施行されたポジティブリスト制度によって、それまでは食品衛生法で残留基準が定められていなかった農薬も、0.01ppmを超えて食品中に残留があった場合には流通が原則禁止となりました。
この流れを受けて保健科学東日本では残留農薬検査を実施しており、すべての人の食の安全と健康維持に貢献すべく尽力しています。
残留農薬には、殺虫剤をはじめ除草剤や植物成長促進剤など多様な種類があります。また残留農薬は、野菜や果実に限定されるものではありません。肉や牛乳といった畜産物においても、食用動物の健康維持のために抗生物質などが使用されており、成分が農薬と同様であることから残留農薬の対象となっています。そして厚生労働省では、農薬はもちろん飼料添加物や動物用医薬品においても残留基準を設定し、検査をするよう義務付けています。
保健科学東日本ではこれらに対応できるよう、残留農薬多成分一斉分析を行っています。
日本における農薬の登録には農薬取締法に基づいた厳しい検査があり、安全性が認められたもののみ国から登録許可が下りるという仕組みになっています。そのため、基本的には残留農薬の人体への影響は極めて低いとされています。
しかし、許容範囲量を越えて使用したり意図的に混入したりする場合は別で、何らかの健康被害が発生する恐れがあります。また他の薬剤や物質との組み合わせによっては、副作用が無いとは言い切れません。
したがって、生産者は農薬の使用量を規定内に抑えるのはもちろん、最重要事項として取り組む必要があると言えます。保健科学東日本の精度の高い検査は、消費者に安心して手に取ってもらえる食品を提供するために役立っています。
保健科学東日本で行っている残留農薬検査は、野菜や果物など6種類の検査項目があります。いずれも一斉分析で、6日から10日ほどが報告日数の目安となっていますが、作物全般の一斉分析のみ14日から21日かかります。
また、一斉分析以外に単項目での検査も受託していますので、必要な情報だけの入手も可能です。農薬が適正に使用されているかどうかだけではなく農薬散布時の飛散状態の確認、ほかにも輸入食品の自主検査や原材料の品質管理といったさまざまな場面において、保健科学東日本の残留農薬検査は活用されています。