感染症に対して保健科学東日本が行う最新遺伝子検査

保健科学東日本では、さまざまな感染症について遺伝子検査を行っており、各病院やセンターなどから多くの受託検査の依頼を受けています。結核性髄膜炎に対するNested PCR検査は、髄液検体から結核菌DNAを検出する技術を保健科学東日本が独自に受託検査に適した形へ改良したうえで導入したものです。慢性腎不全や血液透析患者は感染症リスクが高いことで知られていますが、特に結核症の罹患率は高く、まれに結核性髄膜炎を発症するケースもあります。これは重篤な合併症や後遺症を引き起こし、死亡率も高い疾患です。そうした結核性髄膜炎の診断と治療効果の判定には、Nested PCR検査が有用であることが報告されています。

ノロウイルスRNA検査は、人から人への感染予防や院内感染予防などに活用されています。感染性胃腸炎や食中毒を引き起こすノロウイルスによる感染症は主に冬季に流行しますが、通年で発症例があります。食品からの一次感染だけではなく、空気感染や糞口感染などの感染経路があるため二次感染の可能性も高いウイルスです。保健科学東日本では、RNA検査を通してノロウイルスの二次感染予防に貢献しています。

保健科学東日本のパルスフィールド電気泳動検査は、抗菌薬耐性菌の院内感染のリスク管理に役立てられています。抗菌薬耐性菌のアウトブレイクが引き起こす院内感染は、近年日本だけでなく多くの国で問題視されています。抗菌薬耐性菌の種類は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌やペニシリン耐性肺炎球菌など多数存在します。適切に対処し感染拡大を防ぐためには、まずは感染源となる菌株を特定する検査が必要です。パルスフィールド電気泳動検査では菌のDNAの断片を分離し、遺伝子型を特定します。

性感染症スクリーニング検査は、若年者層を中心にまん延している淋菌感染症やクラミジア感染症などの性感染症について、感染が疑われる、または発症が予測される集団に対して行います。生殖機能への直接的な影響や、母子感染で胎児に深刻な影響をもたらす可能性のある性感染症ですが、その罹患者の大半は無症状か自覚がほとんどないような軽い症状であるため、スクリーニング検査を通して罹患者を明らかにすることが重要です。保健科学東日本では検査キットを用いたマルチプレックスPCR検査を行い、ヘルペスウイルス、トリコモナスといったさまざまな性感染症の原因となる菌やウイルスを一度に調べることができます。