EGFR遺伝子変異解析について
保健科学東日本が受託している検査の1つにEGFR遺伝子変異解析があります。
この検査は、細胞膜上に出現するチロシンキナーザ(TK)型受容体であり、非小細胞肺癌(NSCLC)の治療薬・ゲフィチニブ(商品名はイレッサ)といったEGFRチロシンキナーザ阻害薬の標的分子として注目度が高まっているEGFR(上皮成長因子受容体)に関する検査となっています。
ここ最近、EGFR遺伝子のTKドメインにおける体細胞変異を有するNSCLCがゲフィチニブのレスポンダーである可能性が高いと報告されていることから、保健科学東日本が受託しているEGFR遺伝子変異を解析する検査を行うのは非常に有用だと考えられるようになってきました。
EGFR遺伝子の変異は、肺癌や日本人を含む東洋人、女性、非喫煙者に多く見られることも分かっています。
それぞれの変異の特徴も報告されているため、EGFR遺伝子変異解析を行うことによって悪性腫瘍かどうかを知る指標になるのです。
保健科学東日本が行うこの検査は、4つのエクソン(18、19、20、21)全体のDNAを解析し、多く見られる遺伝子変異だけではなくこれまでに報告されている稀な遺伝子変異まで検出できるようになっています。
EGFR遺伝子の変異に関して、詳しく解析できるためニーズも高いです。
EGFR遺伝子変異解析を行うためには、悪性腫瘍が認められることを確認するために必要な部位だけを提出する必要があります。
パラフィン包埋末染色病理標本の場合は、ホルマリン固定やパラフィン包埋の際にDNAが分断されてしまい、PCR増幅ができない場合もあると覚えておいてください。
また、検体中の腫瘍組織の割合が低い場合は、変異が生じていたとしても「変異を検出せず」という結果になるケースもあります。
悪性腫瘍の詳細な診断や治療法の選択を目的として保健科学東日本のEGFR遺伝子変異解析を患者本人に対して検査したのであれば、保険を1回だけ請求できます。
算定するには、目的と結果、選択した治療法を診療明細書に記載しなければなりません。
保健科学東日本が受託するEGFR遺伝子変異解析の検査には、10日~14日ほどの時間がかかります。
多少検査結果が出るまでに時間がかかりますが、悪性腫瘍の治療法などを決める際のヒントになる場合もあるため、受けてみる価値はあると言えます。
早い段階でより適切な治療法を決めることができれば、良い結果を手に入れられる可能性も高まるからです。
保健科学東日本では、適切な治療を受けるためのサポートをするためにも少しでも早く結果を伝えられるような体制が整っています。